副議長を辞め、少しは自由にものが言えるようになったことに気づき、このコラムを始めることにした。毎日というわけにはいかないが、折りに触れ心に移りゆくよしなしごとを綴るので、笑読いただきたい。
●「103万円の壁」
1989年の11月は世界が「ベルリンの壁」の崩壊に湧いていたが、35年経って、今永田町では「103万円の壁」が崩れようとしている。
自分の不明を恥じるが、先日の選挙戦のさなかに「103万円の壁」の話しを聞いたときに、「それって130万円の壁ではないの?」と一瞬疑問に思った。「130万円の壁」は言うまでもなく、パートの主婦が、夫の配偶者として扶養に残れるかどうかの境界線である。
選挙が終わりマスコミで「103万円の壁」が盛んに報じられるようになって、この金額は単身者の所得税の課税最低限度額であることに気がついた。
アルバイトの学生などが、103万円を超えないようにシフト調整をして働いている事情も知った。
国民民主党は選挙中、若者の手取りを増やすことを公約の柱にして、具体策として「103万円の壁」をぶち壊すことを提起していた。具体的で説得力のある政策で、若者支援を言いながら、私などはこの点に思いが至らなかったわけだから、ここは国民民主党に脱帽するしかない。国民民主党が今回の選挙で大躍進した原因の一つが「103万円の壁」を声高に訴えたことにあると思う。選挙の期間はちょうどアルバイトの若者が「103万円の壁」の前で、これからのシフトをどうしょうかと悩んでいたときだ。彼ら彼女らのハートに国民民主党の政策はグサッと刺さったに違いない。私ももっと若者の暮らしに関心を持たなければと反省している。
*管見(かんけん)とは細い管(くだ)から見ること。