月刊 小品文 (海江田万里の政経ダイアリー)

【海江田万里の政経ダイアリー】2026年6月26日号:皇室典範の改正について

天皇は皇族ではないということをご存じの方は意外と少ないのではないでしょうか。

現在、国会で進められている皇室関係の議論が、国民にとってわかりづらいのは、このことを理解していない人が多いからではないかと思われるふしがあります。

今回の議論を整理すると、問題は二つに分かれます。

一つは、皇位(天皇の地位)が将来にわたって安定的に受け継がれていくかどうかの問題で、もう一つは、現在の皇室は女性皇族が多く、皇室典範の決まりでは、女性皇族は婚姻するとその身分を離れることになっていますから、このままでは皇族数が減少する問題です。

もちろん、天皇は皇族のなかから世襲で継承されますからこの二つの問題は関連がありますが、特に、現在、皇族数の確保の問題は差し迫って解決する必要があります。

こちらを先に議論して、結論を得ようというのが、現在の国会の考えです。

国民の関心の主なものは女性天皇の可否にありますが、この問題は次の段階の議論です。

私も一昨年秋まで衆議院副議長としてこの議論に直接関わってきました。

その最後の仕事として、一昨年9月17日に岸田総理に対して、行った中間報告では

「1.女性皇族の婚姻後の身分保持については、喫緊の課題として認める方向でおおむね共通認識が得られた。2.その際の配偶者・子の身分については様々な意見が述べられた。3.皇統の属する男系男子を養子に迎えることについては積極的な意見も多く述べられたが、反対論もあった」とまとめられています。

私は、この3点について議論を深めて、「国民の総意」形成に向けた「国会の総意」を取りまとめてもらいたいと願っていましたが、残念ながら、現状ではそうなっていません。

さらに、「国会の総意」を受け、政府がまとめた「皇室典範改正要綱」はこうした懸念をさらに増幅させるものと言わざるを得ません。

前回(2016年)、天皇の生前退位に関する皇室典範特例法の議論の際は、当時、国会に議席があった全ての党派のうち衆議院では自由党議員の2名が本会議を退席して採決に加わりませんでしたが、出席議員の全員が賛成して、法改正が行われました。

この姿こそが「国会の総意」であり、「国民の総意」と言えるものです。

高市総理は、7月17日までの今国会で皇室典範の改正を行う考えを示していますが、私の目から見れば、現状では議論が生煮えで、このまま本会議の採決に臨めば、相当数の議員や会派の反対、もしくは議場からの退席が予想され、「国会の総意」が形成されたことにはならないのではないかと案じています。

特に皇室典範改正要綱のなかの旧宮家の男系男子の養子に関しては、明治の旧皇室典範でも禁止されていましたが、その理由は皇位継承に争いを生じる恐れがあるからです。

男系男子の天皇に固執することから、問題の多い養子案に現時点で賛成しているのは国会に議席を有する13党派の中で7党派です。

報道各社の世論調査でも、賛成は4割程度で、しかも内容が「よくわからない」と態度保留を示している国民が3割程度います。

これでは「国会の総意」ではありませんし「国民の総意」にもなりません。

ここは拙速を避けて、十分な議論をして、結論を得るべきです。

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