月刊 小品文 (海江田万里の政経ダイアリー)

2024年を振り返り、2025年を展望する

2024年の政変は、8月14日、岸田総理の突然の記者会見から始まりました。この日の会見で、岸田総理(当時)は「自民党が変わる第一歩は私が身を引くこと」と発言し、9月末に予定されていた自民党総裁選挙に立候補しないことを発表しました。自民党の総裁選挙は9人が立候補する混戦になりましたが、当初優勢が伝えられていた小泉進次郎候補が、選挙戦中盤から失速し、ダークホースだった石破茂氏が当選したことは驚きでした。

同時期に任期満了を迎える立憲民主党の代表選挙は、投票日を何時にするか悩んだ挙句、自民党の総裁選投票日のおよそ1週間前に行うことを決めました。立憲民主党の代表選挙に野田佳彦代議士が選ばれたことは、論戦力の点で見劣りのする小泉氏が退けられ、互角にやり合える石破氏が浮上する一因となりました。

総選挙での自民党の敗因は何と言っても「裏金」問題で、国民の怒りを招いたことにありますが、総理に就任した石破茂氏が、前言をことごとく翻して、早期解散、しかも予算委員会も開かずに解散を断行したことも、自民党への国民の失望をさらに大きくした要因です。

そして戦術的な最大のミスは、選挙戦終盤になって、非公認の候補者に、公認料と同じ2000万円を配ったことです。この事実が新聞で報じられた時から、各選挙区の情勢調査で、自民党候補者の劣勢が顕著になりました。

総選挙の結果、自公の連立与党は過半数を割り込み、少数与党となりました。与党が少数になってから、開かれた特別国会、臨時国会では、議場の風景が一新し、これまでなかった事態が国会に生じました。予算委員会、法務委員会、憲法調査会、政治改革特別委員会など、与党が死守してきた委員会や調査会の委員長(会長)が野党第一党の立憲民主党の手にわたりました。

その結果、何が起きたか?一つは補正予算の国会審議で、憲政史上初となる補正予算の修正が行われました。中身は地震と風水害に見舞われた能登の被災地への支援金を1000億円増やすという与党も反対できないものでしたが、与党が一度出した予算案を一部ではあれ修正することは画期的なことです。

また、今年の通常国会で改正されたばかりの「政治資金規正法」についても、政策活動費を全廃させる内容の再改正が行われました。合わせて、長年にわたって放置されていた月額100万円の旧「文書通信交通費」も、来年8月以降、細かい使用報告を行い、余った分を国庫に返納させることになりました。「企業団体献金」については、自民党の抵抗によって「年度末に結論を得る」と先送りになりましたが、年度末までには与野党で合意がはかられると思います。

臨時国会までに実現した改革は、「裏金問題」によって地に落ちてしまった政治への信頼を取り戻すための最初の一歩にすぎません。大切なことは、野党の議席が増えたことによって国民の生活が豊かになるかどうかです。

年の瀬の27日の東京市場で日経平均株価は4万円を超え、その恩恵に浴する人もいるでしょうが、それはごく少数の人々で、圧倒的に多くの人々は、物価の上昇に苦しんでいます。

2025年の通常国会では、こうした人々に光を当てた税制改革、年金改革が行われなければなりません。私も財務金融委員会の一員として、庶民の側に立った税制の議論を行います。

年頭にあたって

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