■皇室典範再改正の議論を継続すべし
10月24日に改正皇室典範が施行されました。7月に成立した改正皇室典範では、現在、皇族の女性が結婚後も本人の意思により皇族としての身分を持てるようにすることと、1947年に皇籍離脱した旧宮家の男系男子を対象に、皇族との養子縁組を認めることとなっています。現在の、女性皇族が結婚後も皇室に残れるようにしたことは、多くの国民の賛同を得られるものと理解しています。問題は、皇族の養子縁組を可能にする規定です。明治22年(1889年)に定められた旧皇室典範でも養子は宗系(皇統の系統)の乱れを防ぐ観点から禁止されていました。それをこの7月の改正で、皇族数を増やし、男系男子の天皇を維持するために盛り込まれました。養子縁組の件は、2024年の中間報告の際には「反対論もあった」と国会の総意ではないことが記されています。そして、何よりこの改正については、国民の多くが納得してはいない現実があります。
10月26日には漫画家の小林よしのり氏が、今回の皇室典範の改正の中の男系男子の養子縁組の規定は、憲法14条が禁止した「門地(家柄)によって差別されない」との条文に違反するとの裁判を東京地裁に起こしています。また、9月17日には長野県飯島町議会で、「女性天皇を認める皇室典範を改正すること」とした意見書が採択され、国会に送付されました。地方議会が採択した意見書は、国会に送付されても、その内容についての審査や採決は行われません。衆参の公報に、件名や提出した地方議会名が掲載されるだけですが、各地方議会で、こうした動きが出ると、国会議員もこうした草の根の意見を無視できなくなります。一部の頑迷な「男系男子天皇」を主張する国会議員を除いて、今回の皇室典範改正は議論が十分ではなかったと考える議員が与野党を通じて少なくありません。
日本の歴史上、これまで8人・10代の女性天皇がいますし、彼女らは、決してつなぎの天皇ではなく、立派な業績を残した天皇もいます。また、世界を見ると英国をはじめ王室が存在しているヨーロッパの諸国では、女性が王位につく制度が確立していますし、アジアでもタイの王室が女性の王位継承を保障しています。
今回改正された皇室典範の附則では「皇族数の確保の状況を勘案し、必要があると認められるときは、30年ごとに見直しを行う」とありますが、30年後では遅すぎます。改正された皇室典範の採決にあたり、衆議院と参議院それぞれで付帯決議を行っていますが、そこには「安定的な皇位継承を確保するための方策について、引き続き検討する」とあります。
現在の皇位継承の順位は、①秋篠宮文仁親王②悠仁(ひさひと)親王③常陸宮正仁親王となっています。男系男子にこだわり、将来、悠仁親王とお妃に、男子の誕生を期待するだけでは現在と同じで安定的な皇位継承とは言えません。
今回の皇室典範の改正は、2月の選挙で圧勝した高市首相がその勢いに乗じて、拙速に推し進めた内容だと言わざるを得ません。女性皇族が結婚後も皇室に残ることができる規定も、その配偶者とお子様の身分は、一般国民のままとの内容など議論が十分に尽くされたとは言えません。皇室問題は「国家百年の計」といえる課題です、もう一度冷静になって、議論をやり直すことがあってもいいと思います。「過ちては則ち改むるに憚ることなかれ」、「過ちて改めざる、これを過ちという」との先人の教えもあります。
前衆議院議員 海江田 万里
